若い頃は飲食店の経営をしていました。子どもは小さく、家に帰るのは毎晩2時。妻も私も初めての子育てで、二人とも手探りの毎日。
働いてもお金はなかなか残らず、目の前の支払いに追われては、また働く。その繰り返しでした。お金のことはいつも後回しで、家計もどんぶり勘定でした。
私はどちらかというと楽観的で、口では「なんとかなるだろ」と言っていました。でも本音では、業者への支払いの日、従業員の給料日、家賃の支払日が近づくたびに「間に合うか」「足りているか」と、心の中はいつもソワソワしていました。弱い自分を見せたくなくて「なんとかなる」と楽観的に取り繕っていたかもしれません。
妻は少し心配性で、確実なことを好む人です。私の「なんとかなる」は、妻にとってはかえって不安の種で、知らないうちに妻を少し追いつめていたのだと思います。
もちろん、いつも張りつめていたわけではありません。子どもはとにかく可愛くて、その笑顔や寝顔に救われる日も多くありました。
それでも、不安は少しずつ積もっていきます。初めての子育ての不安、私の帰りが遅いことへの不安、そしてお金の不安。楽しさと心配がいつも隣り合わせ。その一番奥にあった不安の正体がお金だったと気づくのは、少し後のことです。
転機は、思いきって、保険の担当だったFPさんに相談してみたことでした。
お金のことを夫婦だけで話すのは、本当に難しいと思います。事実と感情が入り混じるから。見たくない現実を突きつけられると、つい「あなたが飲み会に行くから」「お前がしっかり管理しないから」と、感情でぶつかってしまう。険悪ムードになるのが嫌で、だんだんお金の話を避けるようになる。大切な話だと、お互い分かっているのに。
でも、間に信頼できるFPが入ってくれたことで、夫婦とFPさんの3人で話す時間は「感情」ではなく「事実」に基づいて進みました。何にいくらかかって、この先どうなりそうか。数字を一緒に並べてもらうと、「まず何をすればいいか」が見えてきました。
劇的に変わったわけではありません。少しずつ見通しが立つにつれ、家の空気も、少しずつ変わってきたような気がします。妻とお金の話をする機会も、少しずつ増えていきました。
そして、生活も安定するにつれ、その「お金の話」の中身も変わっていきました。「こんなふうに暮らせたらどう過ごす?」「60歳超えてお金も時間も自由になったら何する??」——そんな、未来の会話が増えました。ただの空想ではなく、自分が働いて得たお金を土台にそういう話ができるようになったこと。それが、私達には大きな進歩でした。
私たち夫婦を救ってくれたのは、事実に基づいて一緒に考えてくれるファイナンシャルプランナーの存在でした。こんな素敵な存在が、すべての人のそばに広がればいい。なんて素晴らしい仕事だろうと思って、私は飲食店経営をやめて、FPの世界に飛び込みました。
このセミナーは、その一端を少しでも見てもらう場です。60分で、「老後にいくら必要か」の出し方と、これから進む順番の考え方をお話しします。医療や介護で忙しく働く方ほど、自分のことは後回しになりがちです。だからこそ、その最初のきっかけになればと思っています。
ファイナンシャルプランナーを、もっと身近に感じてほしいと思っています。
近くにファイナンシャルプランナーがいる人は、そう多くありません。いたとしても、保険だけを扱う人がほとんどです。
無料でやっているのは、少しでも困っている方を助けたいからです。誰かの接点になって、誰かを助けられたら、この仕事をやっていてよかったと思えます。